性別適合手術とは【まず結論】
一言でいうとどんな手術?
SRS、GASといった略称のほか、日本では「適合手術」や「オペ」と呼ばれることもあります。
一度の手術ですべてが完了するわけではなく、目的や部位ごとに何回かに分けて行うのが一般的です。
「性転換手術」との違い
テレビや新聞などで「性転換手術」という言葉を見かけたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、この呼び方は現在の医療現場ではほとんど使われなくなっています。
「転換」だと、ある性別を捨てて別の性別になるような印象を与えてしまいますが、実際にはご本人がもともと感じている性自認に体を近づけていくプロセスです。
「適合」のほうがその実態をよく表しているため、本記事でもこちらの呼び方を使っていきますね。
手術は必ず受けるもの?
いいえ、そんなことはありません。性別適合手術はあくまで選択肢の一つです。
カウンセリングやホルモン療法だけで気持ちが楽になる方もいますし、服装や名前の変更といった社会的なトランジションだけで心地よく暮らしている方もたくさんいます。
「手術をしなければ本物ではない」――そんな声を耳にすることがあるかもしれませんが、それは誤りです。どの段階であっても、あなたはあなた自身です。
手術を受けるかどうか、どの範囲まで受けるかは、すべてご本人の意思で決めてよいことです。
戸籍変更とは別問題(詳しくは後半へ)
日本では戸籍の性別変更に手術要件が絡んできた歴史がありますが、手術と法的手続きはもともと別々のものです。
手術は体の苦痛をやわらげるための医療行為、戸籍変更は法律上の性別を変える行政手続き。
この二つの関係については記事の後半でくわしくお伝えしますので、気になる方はそちらもぜひご覧ください。
性別適合手術でできること・できないこと
手術を考えるとき、「何がどこまで変わるのか」は気になるポイントですよね。
ここでは、現在の医療技術でできることと、まだ難しいことを整理しておきます。
体の性別に関わる部分
性別適合手術の中心は、性器の形成です。
MtFの方では陰茎と精巣を除去して腟を作る「造腟術」、FtMの方では陰茎を形成する「陰茎形成術」や尿道延長術などが代表的なメニューになります。
現在の技術では、見た目も機能もかなり自然な仕上がりが実現できるようになっています。
ただし、シスジェンダーの方とまったく同じ生殖機能(妊娠・射精など)を手術で得ることはまだできません。
この点はあらかじめ理解しておくことが大切です。
胸や体つき(胸オペ)
FtMの方には乳房を切除する「胸オペ」が行われ、平らな男性的な胸板に近づけます。MtFの方は豊胸術で胸のふくらみを作りますが、ホルモン療法で乳腺がある程度育ってから手術に進む方が多いです。
一方で、体脂肪の付き方や骨格そのものを手術で変えることは基本的にできません。
体つき全体の印象はホルモン療法の影響が大きく、手術はあくまで特定のパーツを整える役割だと考えていただくとイメージしやすいと思います。
顔や声(外見の手術)
MtFの方向けには、額・鼻・顎・エラなどの骨を削って女性的な顔立ちに近づける顔の女性化手術(FFS)があります。
喉仏を小さくする甲状軟骨縮小術もMtFの方に人気の高い施術です。
声については、声帯を短くして声を高くする手術がありますが、仕上がりの予測が難しいため、ボイストレーニングとの併用が勧められることが多いです。
なお、FtMの方はテストステロンの投与で声が自然に低くなるため、声の手術を必要とするケースはほとんどありません。
どこまで変えるかは人それぞれ
性別適合手術はフルコースをすべて受けるものではありません。
胸だけ、性器だけ、顔だけなど、ご本人が最もつらいと感じている部分にしぼって受ける方もたくさんいます。
「ここまで変われば、自分の体に納得できる」と感じられるラインは人それぞれ。
正解は一つではありませんので、ご自身のペースで考えていただければ大丈夫です。
男性から女性(MtF)の主な手術
MtFの方が検討できる手術のメニューは多岐にわたります。それぞれの概要を部位ごとに見ていきましょう。
性器の手術(SRSと呼ばれることも)
代表的な術式は「反転法(ペニール・インバージョン法)」です。陰茎の皮膚を裏返すようにして腟腔を形成し、精巣は同時に摘出します。
もう一つの選択肢として、S字結腸の一部を使う「結腸法」があり、こちらは腟の潤滑性に優れるとされていますが、手術の規模はやや大きくなります。
術後にはダイレーション(腟腔を広げた状態に維持するケア)を数か月〜1年以上にわたって続ける必要があります。
最初のうちは1日に何度も行うため、生活のリズムに組み込む心構えが大切です。
胸の手術
ホルモン療法で胸がある程度ふくらんだ後でも、「もう少しボリュームがほしい」と感じる方は豊胸術を検討できます。
シリコンインプラントを入れる方法が主流ですが、ご自身の脂肪を注入する方法を選ぶ方もいます。
一般的には、ホルモン治療を始めてから2年以上経ってから判断するとよいと言われています。
それぞれ触り心地・形・リスクが異なりますので、複数のクリニックで話を聞いて比較するのがおすすめです。
顔・のどぼとけの手術
顔の女性化手術(FFS)では、眉骨の出っ張りを削る、額を丸く整える、鼻すじを細くする、エラや顎のラインを卵型に近づけるなど、複数の施術を組み合わせて行います。
一度のセッションでまとめて手術できる場合もあります。
甲状軟骨縮小術は喉仏の軟骨を内側から削り、首のラインをすっきり見せる手術です。
施術時間が比較的短く、傷跡も目立ちにくいため、トランジションの早い段階で受ける方も多い施術です。
声の手術
声帯の前方を縫い縮めて振動する範囲を短くし、地声の高さを上げる術式が代表的です。
うまくいけば、意識しなくても自然に女性的なトーンで話せるようになります。
ただ、術後の声質には個人差が大きく、思い描いていた声と違う仕上がりになる可能性もゼロではありません。
そのため多くの専門医は、ボイストレーニングを並行して続けることを勧めています。
手術だけに頼らず、複数のアプローチを組み合わせるほうが安心です。
よくある選び方・順番
- 脱毛とホルモン療法を平行してスタート
- 外見が女性的になってきた段階で胸や顔の手術を検討
- 最後に性器の手術(SRS)へ進む
この流れがMtFの方がよく辿るルートです。
もちろん、この順番が唯一の正解ではありません。
性器の手術を最優先にする方もいれば、FFSから始める方もいます。
「自分が一番つらいと思うところから手をつける」――そのシンプルな考え方で十分です。
女性から男性(FtM)の主な手術
FtMの方が検討する手術は、MtFの方とは内容もニーズも違ってきます。それぞれの部位ごとに見ていきましょう。
胸の手術(胸オペ)
FtMの方のなかで最もニーズが高いのが、乳房を切除する「胸オペ」です。
バインダー(胸を押さえるベスト)を毎日使うストレスから解放されたい、Tシャツ一枚で外出したいという声が多く、トランジションの比較的早い段階で受ける方が目立ちます。
術式は胸の大きさによって変わります。
小さめの方なら乳輪のまわりだけの切開で済むこともありますが、大きめの方は横一文字の切開が必要になる場合があります。
傷跡は時間とともに薄くなりますが、完全に消えるわけではないので、仕上がりのイメージを執刀医としっかり共有しておくことが大切です。
子宮・卵巣の手術
子宮と卵巣を摘出する手術は、月経を完全に止めたい方や、テストステロンの長期投与に伴う子宮内膜のリスクを減らしたい方が検討します。
腹腔鏡を使った手術であれば傷口が小さく、入院も数日〜1週間程度で済むケースが多いです。
ただし、この手術を受けると妊娠・出産の可能性はなくなります。
将来お子さんを望むかもしれないという気持ちが少しでもある方は、手術の前に卵子の凍結保存について主治医と話し合っておいてくださいね。
性器の手術
FtMの性器の手術には、大きく二つの方法があります。
一つは「ミニペニス形成術(メトイディオプラスティ)」です。
テストステロンの効果で大きくなったクリトリスを利用して小さめの陰茎を形成するものです。手術の負担は比較的軽いですが、サイズには限界があります。
もう一つは「陰茎形成術(ファロプラスティ)」です。
前腕や太ももから皮弁を採取してより大きな陰茎を作ります。こちらは複数回の手術と長い回復期間が必要になります。
どちらを選ぶかは、機能面・見た目・リスクの許容度を総合的に考えて判断していくことになります。
その他の手術
脂肪吸引で腰まわりのシルエットを男性的に整えたり、ふくらはぎにインプラントを入れて筋肉質な見た目にしたりする施術もありますが、ここまで踏み込む方は少数派です。
テストステロンの効果で体つきは自然と男性的になるため、ほとんどの方はホルモン療法の変化で十分だと感じています。
よくある選び方・順番
- ホルモン療法からスタート
- 胸オペ
- 必要に応じて子宮・卵巣の摘出
- 最後に性器の手術を検討する
FtMの方はこの段階的な流れが多いです。
胸オペの段階でストップする方も少なくありません。
「日常で最もストレスの大きいところをまず解消して、あとはじっくり考える」そんなアプローチがとても現実的ですし、無理のない進め方だと思います。
手術の選び方|よくある3パターン
「どこまで手術するか」は人によって本当にさまざまです。ここでは、よくある3つのパターンをご紹介します。
胸の手術だけ行う
FtMの方に特に多いのがこのパターンです。
胸がフラットになるだけで、服の選び方がぐっと広がり、バインダーの皮膚トラブルや息苦しさからも解放されます。
手術の規模が比較的小さく回復も早いため、「まずここから始めよう」と踏み出しやすいのも特徴です。
MtFの方で豊胸術のみを選ぶケースもあります。
ホルモン療法だけでは胸のボリュームに満足できないとき、性器の手術は受けずに胸だけ手術するという判断です。
性器の手術まで行う
性器の形に強い違和感を抱えている方や、戸籍の性別変更を視野に入れている方が選ぶパターンです。
手術の規模が大きくなる分、費用・回復期間・リスクのいずれも上がりますが、術後に「ようやく自分の体と仲直りできた」と話す方はとても多いです。
多くの場合、胸の手術を終えてから数か月〜数年の間隔を置いて性器の手術に進みます。
一度にすべてを済ませるのではなく、一つひとつ納得しながら進めるのが一般的です。
手術をしない(別の方法を選ぶ)
手術を受けないという選択も、とても立派な一つの道です。
ホルモン療法だけ、あるいはカウンセリングと社会的なトランジションだけで、自分らしく暮らしている方はたくさんいらっしゃいます。
「手術しないと中途半端」というような声が周りから聞こえてくることがあるかもしれません。
でも、自分の体のことを決める権利は自分だけにあります。
手術をしない選択は決して消極的なものではなく、ご自身にとってのベストを考え抜いた結果です。
手術までの一般的な流れ
「手術を受けたい」と思ってもすぐにオペ室に向かうわけではありません。
準備のステップを一つずつ丁寧に踏むことが、安全で満足のいく結果につながります。
情報収集・相談
最初のステップは、手術について正確な情報を集めることです。
主治医やカウンセラーに相談するのはもちろんですが、当事者のコミュニティやSNSで実際に手術を経験した方の声を読んでみるのも参考になります。
ただし、ネット上の情報は正確なものばかりとは限りません。
医療機関の公式サイトや学会のガイドラインなど、信頼できるソースを軸にして整理していくと安心です。
病院選びと準備
性別適合手術を行える医療機関は限られています。
国内では大学病院のジェンダー外来やGID専門のクリニックが主な受け入れ先で、タイや韓国など海外の専門施設を選ぶ方も多いです。
できれば複数の病院でカウンセリングを受けて、術式の説明、過去の症例写真、費用、アフターケアの体制などを比較してみてください。
「この先生になら任せられる」と思える執刀医に出会えるまで、妥協しないことが大切です。
手術前に行うこと
手術日を決める前に行うこととして、
- 精神科医2名の診断書の取得(日本のガイドラインの場合)
- ホルモン療法を一定期間以上続ける
- リアルライフテスト(自認する性別での社会生活を実際に経験すること)を行う
上記が条件となることが多いです。
手術日が決まったら、
- 喫煙中の方は禁煙
- 服用中の薬がある方は担当医に確認
- 麻酔前の検査
- 術後に必要なグッズの準備
- 渡航手配や通訳の手配(海外で手術を受ける場合)
これらを済ませておきましょう。
3〜6か月前から動き始めると余裕を持てます。
手術後の生活(回復の目安)
術後の回復スピードは手術の内容によってかなり差があります。
胸オペであれば1〜2週間で日常の動作に戻れることが多いですが、性器の手術では4〜8週間ほど安静が必要になるケースもあります。
MtFの方がSRSを受けた後は、ダイレーション(腟腔の維持ケア)を毎日の習慣として続けていくことになります。
最初の数か月は1日に複数回、その後も定期的なケアが続きますので、あらかじめ生活のリズムに組み込んでおくと負担が軽くなります。
回復には時間も根気も必要ですが、一歩ずつ進んでいけば大丈夫です。
費用の目安|何にお金がかかる?
性別適合手術の費用は決して安くありません。
手術代だけでなく周辺のコストもあるため、全体像を把握しておくと資金計画を立てやすくなります。
手術代の目安
国内で受ける場合のおおよその相場をまとめると、胸オペ(乳房切除術)で30〜80万円、豊胸術で50〜120万円、子宮・卵巣摘出で40〜80万円、MtFのSRS(造腟術)で100〜250万円、FtMの陰茎形成術で150〜400万円ほどです。
顔の女性化手術(FFS)は施術箇所が増えるほど高額になり、100〜400万円以上になることも。
声の女性化手術は30〜80万円程度が目安です。
入院・通院・検査
手術代以外にも、術前の血液検査・心電図・麻酔科の診察などの検査費用(数千円〜数万円)、入院費(1泊あたり1万〜3万円×日数)、術後の定期通院にかかる費用が上乗せされます。
海外での手術の場合は、現地での診察・検査費も別途かかります。
術後ケア
術後に必要となるケア用品(ダイレーター、圧迫ガーメント、消毒グッズなど)は数千円〜数万円程度です。
万が一合併症が起きたときの追加治療費や、修正手術が必要になった場合の費用も、頭の片隅に入れておくと安心です。
交通・宿泊(遠方の場合)
手術に対応している病院がお住まいの近くにないことも珍しくありません。
たとえばタイで手術を受ける場合は、航空券(5〜15万円)、ホテル2〜4週間分(10〜30万円)、通訳費(数万円〜)などが加わり、手術代を含めた総額が300〜500万円を超えることもあります。
国内でも、東京や岡山など専門施設のある地域まで遠方から通う場合は、術前カウンセリング・手術当日・術後検診と複数回の移動が必要です。
付き添いの方の分も含めて計算しておくと、予想外の出費を防げます。
手術のリスクと知っておきたいこと
手術に伴うリスク
性別適合手術も外科手術の一種ですので、出血、感染、麻酔のトラブル、傷跡が目立つ(瘢痕形成)といった一般的なリスクがあります。
部位ごとの特有のリスクもあります。
MtFのSRS後に腟腔が狭くなったり、尿路との間に小さなトンネル(瘻孔)ができたりするケース、FtMの陰茎形成術後に尿道のトラブルや皮弁がうまく定着しないケースなどが報告されています。
こうしたリスクの発生率は執刀医の経験に大きく左右されるため、症例数の豊富な施設を選ぶことが何よりのリスク対策になります。
回復までの期間
胸オペは回復が比較的早く、デスクワーク中心であれば1〜2週間で復帰できることが多いです。
性器の手術になると回復に時間がかかり、MtFのSRS後は少なくとも4〜6週間、FtMのファロプラスティでは2〜3か月の療養が目安になります。
肉体労働やスポーツへの完全復帰にはさらに数か月かかることもありますので、職場への事前相談や休暇計画などの準備も早めに進めておくと安心です。
手術を決める前に考えたいこと(後悔を減らす視点)
性別適合手術で起きた変化の多くは、もとに戻すことができません。
だからこそ、「本当に今の自分に必要か」「このタイミングでいいか」を、立ち止まって考える時間を大切にしてほしいと思います。
焦りや、周囲からの「早くしたほうがいい」という声で決断するのではなく、ご自身の内側からわいてくる確信を待つ姿勢が、後悔の少ない結果につながります。
国際的な研究でも、しっかりカウンセリングを受けて段階的に進んだ方ほど術後の満足度が高いことが示されています。
信頼できる医療チームと一緒に、時間をかけて歩んでいくこと。それが最大のセーフティネットです。
性別適合手術と戸籍変更の関係(日本)
手術と法的な性別変更は本来別々のものですが、日本の法制度では深く関わり合ってきました。ここでは現在地を簡潔にお伝えします。
戸籍の性別変更とは
日本では「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(特例法)」にもとづき、家庭裁判所の審判を経て戸籍上の性別を変えることができます。
申立てには精神科医2名の診断書のほか、年齢や婚姻状況、お子さんの有無などに関する要件を満たす必要があります。
手術は必要なの?(現時点の考え方)
特例法はこれまで「生殖腺がないか、永続的に機能していない状態」を性別変更の要件の一つとしてきました。
これは実質的に、不妊手術を受けなければ戸籍を変えられないことを意味していたため、長年にわたって当事者から強い批判がありました。
2023年10月、最高裁判所大法廷はこの生殖腺要件を「違憲」と判断しました。
この決定によって、手術を受けなくても性別変更の道が開かれつつあります。
ただし、外観に関する要件(体の見た目が変更後の性別に近いこと)についてはまだ結論が出ておらず、引き続き議論が続いています。
最新情報を確認する大切さ
特例法をめぐる状況は今まさに動いている最中です。
裁判例の積み重ねや国会での議論によって、手術と戸籍変更の関係は今後さらに変化していく可能性があります。
具体的に手続きを進めようと考えている方は、ジェンダー法に詳しい弁護士や支援NPO、あるいは家庭裁判所の窓口で、最新の要件を直接確認することを強くおすすめします。
ネット上の情報は古い法律にもとづいている場合がありますので、ご注意くださいね。
よくある質問
痛みはどれくらい?
痛みの感じ方には個人差がありますが、手術の直後は麻酔と鎮痛剤でしっかり管理されますので、耐えられないほどの痛みが長く続くことは稀です。
多くの場合、術後2〜3日が痛みのピークで、そこからは日に日に楽になっていきます。
胸オペの場合は数日でかなり落ち着く方が多く、性器の手術では1〜2週間ほど痛みが残ることがあります。
不安な方は事前に担当医と鎮痛のプランを相談しておくと安心ですよ。
入院はどれくらい?
手術の内容によって異なりますが、おおまかな目安をお伝えすると、胸オペは日帰り〜1泊、子宮・卵巣の摘出で3〜7日、MtFのSRSで1〜2週間、FtMの陰茎形成術で2〜3週間ほどです。
海外で受ける場合は退院後も現地で数日〜2週間の経過観察が必要になることがあるため、滞在期間には余裕を持たせてください。
仕事はいつ復帰できる?
デスクワーク中心のお仕事なら、胸オペ後は1〜2週間、性器の手術後は4〜8週間が復帰のめどです。
立ち仕事や肉体労働の場合はもう少し長い休養が必要になることもあります。
あらかじめ職場に休暇の計画を伝えておき、復帰後はしばらく軽めの業務から戻していくのが理想的です。
子どもは持てる?
精巣や卵巣を摘出する手術を受けると、自然な生殖はできなくなります。
将来お子さんを望む気持ちが少しでもあるなら、手術の前に精子または卵子の凍結保存について医師に相談してみてください。
凍結しておけば、後からパートナーとの間で生殖補助医療を利用できる可能性が残ります。そのほか、養子縁組や里親制度という道もあります。
まとめ|焦らず情報を集めることが大切
性別適合手術は、体の違和感をやわらげ、より自分らしい体を手に入れるための大きな選択肢です。と同時に、体への負担が大きく、元に戻すことが難しい不可逆的な医療行為でもあります。
だからこそ、「情報を集める→信頼できる医療チームと出会う→じっくり考える→自分の意思で踏み出す」というプロセスを、どうか大切にしてください。
周りのペースや社会の空気ではなく、ご自身の心の声を判断の軸にすること。それが後悔のない決断への一番の近道です。
手術を受ける方も、受けない方も、どちらの選択も等しく尊重されるべきものです。
迷っているときこそ、専門家や経験者の声に耳を傾けてみてください。あなたの歩みを支えてくれる人は、きっといます。



